記事紹介2020年06月05日

100万円の補助金を見逃すかも? 住宅着工前に注意したい補助金制度

都道府県や市区町村では、住民サービスの一環として、住宅を取得する住民を対象に様々な補助金制度などを実施しています。中には、都道府県・市区町村合わせて100万円以上も補助金を利用できる地域もありますが、うっかりしていると補助金を受け損ねるケースもあるので注意が必要です。


■住まいの補助金制度があるのは国だけではない

マイホームを取得するときには、様々な補助金制度を利用できます。物件の条件によっては、合計すると200万円、300万円と補助金を利用できて、取得時の負担を大幅に軽減できます。

たとえば、国のネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)に対する補助金は、住宅の内容によって1戸当たり60万円から105万円(予定)になっていて、中でも先進的なシステム導入住宅には90万円の加算があります。

都道府県や市区町村でも補助金制度を実施していて、ほとんどは国の制度と併用できます。たとえば、東京都のZEH関連の補助金は上限100万円なので、国の制度と合わせると合計300万円に達する補助金になることもあります。

そのほか、現在は、消費税増税による負担増を軽減するため、最大50万円の「すまい給付金」制度が実施されていますし、そのほかにも都道府県、市区町村は地域に則した様々な補助金制度を実施しています。


■省エネや環境関連の補助金制度が多くなっている

どんな補助金制度があるのか、具体的な例をみてみましょう。

先にも触れたZEH関連では、ほとんどの自治体が補助金制度を実施しています。図表1はその例です。たとえば、北海道札幌市では、太陽光発電設置で34.9万円、合わせて家庭用蓄電池(定置用蓄電池)の設置で最大12万円などとなっています。

省エネや環境関連の補助金制度が多いのが最近の傾向で、ZEHのほか、生け垣や屋上緑化・壁面緑化などの補助金制度を実施している市区町村も少なくありません。たとえば、東京都世田谷区では生け垣助成金として、低い木は1平方メートル当たり6,000円、1メートル以上の高い木は1万2,000円で合計25万円まで補助していますし、屋上緑化・壁面緑化の上限は50万円となっています。そのほか、自治体によっては、雨水浸透ます、雨水貯留タンクなどへの補助金もあります。

三世代同居への補助金制度が増えている

さらに、地元の木材を利用して家を建てる場合には、環境対策、森林保全による災害防止策、地元の林業関連の振興を兼ねて補助金制度を実施しているところもあります。たとえば、群馬県は1棟当たりの上限が60万円で、宮城県は50万円、富山県は40万円などとなっています。

このところ、三世代の同居や隣居、近居などへの補助金も増える傾向になるようです。
三世代同居の場合、図表2にあるように、千葉県千葉市は1棟当たり50万円で、市内の事業者で建てたり、買ったりする場合には100万円に増えます。千葉県茂原市、東京都北区などにも同様の制度があります。

これらを合わせると、国以外でも合計100万円、200万円と補助金を利用できるエリアが少なくありません。マイホームを取得するときには、しっかりと地元の都道府県、市区町村の補助金制度を調査して、確実に利用できるようにしたいところです。


■半数近くの事業者が自治体の制度を把握しきれず

そうした補助金については、不動産会社、住宅メーカーや工務店などがキチンと教えてくれて、手続きしてくれる――と安易に考えているとたいへんなことになります。事業者頼みではなく、自分でキチンと確認することが大切です。

住宅金融支援機構が2020年4月に発表した『2020年度における住宅市場動向について』という調査では、自治体の補助金などの制度に関する調査項目が盛り込まれています。

まず、自治体の補助金制度について把握しているかどうかを聞いたところ、「全て把握している」とする事業者は9.8%と1割以下にとどまり、「だいたい把握している」の41.6%を加えても、把握している事業者はほぼ半数にとどまります。残りの半数近くは、十分には把握していないことになります。

4割以上が自治体の制度を活用していない

しかも、図表3にあるように、その補助金制度を「活用している」とする事業者は55.9%で、「あまり活用していない」「活用していない」の合計が44.0%に達しているのです。4割以上の事業者が補助金制度を活用していないわけです。

なぜなのでしょうか。その理由を聞いてみると、最も多かったのが「利用対象が限定されているため」の74.0%で、以下「制度が複雑なため」14.6%、「補助金等の金額が少ないため」14.6%、「手続に時間がかかるため」13.8%などが続いています。

利用できる人が限られていても、補助金額が少ないとしても、利用できる人にとってはたいへんありがたい制度です。それを、時間がかかるから、手続きが複雑で面倒だからといった理由で利用しないのは、何とももったいないことです。自治体の制度を教えないのには理由がある

たしかに自治体の補助金に関する手続は面倒なものですが、かといって申請しない手はありません。事前に調べておいて、利用できる補助金制度があれば、確実に手続きすることが大切です。初めての人だと必要な書類の手配や記入の仕方が分からなかったり、時間がかかったりしますから、事業者にアドバイスしてもらいながら、間違いのないように手続きしたいところです。

とはいうものの、自治体の補助金制度は原則的に、契約・着工の前に申請して確認を得ておかないと、契約・着工後に申し込んでも、受け付けてもらえないのがふつうです。


■自分で都道府県庁や役場に足を運ぶ

まずは、都道府県と市区町村のホームページで制度の有無、その内容を確認しましょう。ホームページの「住まい」や「補助・助成制度」などの項目で検索すれは、見つかるはずです。インターネットが苦手な人は、都道府県庁や市区町村役場に直接足を運んでください。住宅関係の部署に補助金関係のチラシなどがあるでしょうし、ない場合には担当者に相談してみてください。

何十万円、あるいは100万円単位で補助をしてもらえる可能性があるのですから、手間ヒマを惜しんではいけません。キチンと自分で調べて、損しないようにフルに活用していただきたいものです。

(マイナビニュースより引用)