記事紹介2020年03月01日
例年1~3月は住み替えシーズンで、多くの人・物件が動きます。3月は決算期ということもあり、さらに住宅市場が活況を迎えます。一方で今年は新型コロナウイルス感染拡大による社会や経済への影響が少なからず出ています。このような状況の中、住宅ローンはどのように推移したのか。3月の【フラット35】金利動向を見ていきましょう。
■2020年3月の【フラット35】金利は総じて引き下げ
今月の、全期間固定金利型住宅ローン【フラット35】の融資率9割以下、返済期間21~35年の金利は先月から0.04%引き下げで、機構団信を含めて1.24%に。
融資比率9割以下・返済期間15~20年の金利も0.04%引き下げ、1.19%となりました。
また、物件価格の4割以上の頭金があれば、従来の【フラット35】よりも低い金利が適用される新商品「ARUHIスーパーフラット6」は1.04%。
物件価格の3割以上の頭金があれば、従来の【フラット35】よりも低い金利が適用される「ARUHIスーパーフラット7」は1.09%。
物件価額の2割以上の頭金があれば、従来の【フラット35】よりも低い金利が適用される「ARUHIスーパーフラット8」は1.14%。
物件価格の1割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHIスーパーフラット9」は1.19%と、いずれも先月の金利から0.04%引き下げとなりました。
■小幅な引き下げにとどまった背景は?
最後に今月の金利変動について、不動産や金融についてその業界の人に匹敵する知見をもつ、公認会計士ブロガー千日太郎さんにまとめていただきます。
新型コロナウイルスの感染拡大は中国国内にとどまらず世界に拡大し、パンデミックリスクを懸念する投資家によって株式が売られ、2月末の日本の長期金利は-0.1%台にまで下がりました。これは2019年12月以来の低水準です。その当時の【フラット35】買取型の金利は1.21%でしたので、そのくらいまで下がるのでは?と期待した人もおられたでしょう。
しかし、前述のように前月から0.04ポイント低下の1.24%と、小幅な低下にとどまりました。なぜそうなったのかを解説しておきましょう。
直近2回の機構債発表時点の長期金利(前日終値)、機構債の表面利率、そして当該【フラット35】の金利を並べてみると次のようになります。
2月の機構債の表面利率が発表された1月22日の時点では、まだ新型コロナウイルスの危険性が過少に評価されていて長期金利がそれほど下落しておらず、むしろ少し上がったタイミングでした。
そして3月の機構債の表面利率が発表された2月19日時点では米アップル社が1月から3月の業績予想を下方修正するなど、コロナウイルスの世界経済への悪影響が具体的に認識され始めたタイミングだったのです。
その後22日からの3連休の間にさらに広範囲への感染拡大が明らかになったことが追い打ちとなり、週明け24日から月末にかけてさらに急転直下に日米の長期金利は下落したのですが、それは3月の【フラット35】の金利には反映されていないのです。
しかし、「S」などの補助金制度を適用すれば当初5年または10年は1%を下回る低金利となりますし、アルヒスーパーフラットを併用すればさらに低金利となります。新型肺炎の感染拡大は心配ですが、住宅ローンの金利面では住宅購入者にとって注目といえるでしょう。
(マイナビニュースより引用)