記事紹介2021年01月01日

2021年1月の住宅ローン金利動向。【フラット35】金利は3ヶ月ぶりの引き下げに

新型コロナウイルスの感染拡大により世界規模で経済が揺れ動いた2020年。
住宅ローン金利はおおむね低金利を維持した形となりましたが、新年2021年1月の【フラット35】金利動向を見ていきたいと思います。


■2021年1月の【フラット35】金利は前月からマイナス0.02%

今月の全期間固定金利型住宅ローン【フラット35】(買取型)の金利は融資率9割以下、返済期間21~35年機構団信を含めて1.29%。
また融資比率9割以下・返済期間15~20年の金利は1.20%となり、いずれも12月から0.02%引き下げられました。


■まとめ

最後に今月の金利変動について、不動産や金融についてその業界の人に匹敵する知見をもつ、公認会計士ブロガー千日太郎さんにまとめていただきます。
2021年1月の機構債の表面利率が発表される前日の長期金利終値は0.01%と前月から0.02%下がりました。
機構債の表面利率もほぼ同じく0.02ポイント下がって0.33%となり、【フラット35】(買取型)の金利も0.02ポイント下がりました。
【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み(※)からすると、住宅金融支援機構の調達金利が0.02ポイント下がったため、融資金利も同じ幅で下がったということになります。


■ワクチンへの期待と2021年1月【フラット35】の金利動向の関係

米大統領選挙が意外にも接戦となったことから、投開票直後の10月末から11月の上旬までは大きな混乱がありましたが、その後は新型コロナウイルスに対するワクチン普及への期待から景気敏感株への買いが続くなど、米国の長期金利は上昇しました。
しかし、日本の長期金利については株価とは全く逆に下がりました。これは日本国債を手放す投資家は少なく、むしろ多くが買っているということを意味します。つまり、新型コロナウイルスの感染拡大から、安全資産の日本国債を買う動きは株式の購入を上回っていたのです。

市場関係者からは、現在の株高は実体経済と乖離しているとの指摘も出ており、今の株高の流れから好景気に入るとは考えにくいため、しばらくは低金利が続くでしょう。

しかし、各国でワクチンの投与が進み感染が収束の兆しを見せてくれば、それまで債券を保有していた危険回避型の投資家がリスクを取って、リターン(収益)を追求しやすい相場状況となり、債券を売る可能性も否定できません。
これによって債券価格が下がれば日本の長期金利も上昇します。

なお、【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み(※)にあるように【フラット35】の金利は金融市場の長期金利を直接反映しやすいです。長期金利が上がってしまうとわたしたち住宅ローン契約者が借りる金利も上がってしまう可能性があります。
こうしたイレギュラーな動きを事前に予想することは、極めて困難ですが、これから融資の実行と引き渡しを予定されている方は、複数の金利タイプ、金融機関で審査を通しておくことをお勧めします。

※【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み
住宅ローンの【フラット35】(買取型)は、下図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。

この機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家たちは機構債を国が取り扱う安全な債券という考えで購入しますので、機構債の表面利率は国が発行する債券=10年国債の利回り(長期金利)に連動する傾向があります。

(マイナビニュースより引用)