記事紹介2020年02月24日

2020年度の税制改正大綱が発表。住まい選びへの影響は?

2019年10年、消費税率が10%に引き上げられました。昨年度予算ではこの増税の影響を最小限に食い止めようと、住宅関連で手厚い政策が打ち出されました。では、2020年の制度改正ではどのような変化があるのでしょうか。わかりやすく解説していきます。


■住宅ローン控除、すまい給付金、贈与税の非課税枠が3本柱

住まいを買おうと思っている人にとってありがたいのが、住まいの取得を後押ししてくれる優遇制度です。例年12月になると、「税制改正大綱」が発表され、翌年度の制度の概要がわかります。では、2020年度の住まいや不動産まわりでは、どのような制度となっているのでしょうか。注目点を解説していきましょう。

基本的には、住宅ローン控除、住まい給付金、贈与税の非課税枠が3つの軸となり、また各種税金の軽減が延長されています。住まいまわりでのポイントは、2019年に発表された制度の予定変更はなく、そのまま延長となっているので、2020年以降に家を買おうと思っている人には「焦らずとも見通しがたてやすい」といえるでしょう。

ただ、2020年末、2021年末を申し込み期限、適用期限としている制度もいくつかあります。利用できる制度の詳細条件については不動産会社の担当者と相談してみましょう。

1. 住宅ローン控除
10年以上の住宅ローンを利用して住まいを購入した人が、年末の住宅ローンの残高1%を最大控除額として、納めた税金から還付される制度。2019年に加わった新築の控除期間の3年延長については、2020年年末が期限。利用したい人は今年中に動いておくのもよいでしょう。

2. すまい給付金
収入額の目安が775万円以下の人を対象に最大50万円まで給付される制度。増税前は収入額510万円以下の人に最大30万円の給付でしたが拡充されました。2021年12月末まで実施予定。

3. 住宅取得等資金にかかる贈与税の非課税枠最大3000万円
父母や祖父母などから住宅の取得やリフォームのための資金を贈与によって受け取った場合、最大3000万円が非課税になる制度。3000万円まで非課税になるのは2020年3月末までに省エネ住宅に契約した場合。2020年4月以降は1500万円までと半分に。

※優遇制度の適用には条件があるため、不動産会社・金融機関の担当者に確認を。

その他、各種税金の減免制度には以下のようなものがあります。


【登録免許税】
住宅について保存・移転・抵当権設定登記などにかかる登録免許税の軽減を2年延長

【登録免許税】
長期優良住宅・低炭素住宅の所有権保存登記について登録免許税の減税を2年延長

【固定資産税】
新築や長期優良住宅の固定資産税優遇を2年延長

空き家・空き地問題が課題に。中古住宅に注目度大
住宅の取得応援・優遇制度は基本的には「継続路線」でしたが、年々、問題となっている空き家や空き地については、新しい政策がなされています。制度の意図をシンプルにいうと、「空き家や低額の土地への課税を強化し、利用を促進する」というものです。

所有者不明の「土地」「空き家」の問題は先送りするほど、相続人が増えたり、連絡がとりにくくなったりするといったように深刻になります。そのため、課税を強化するなどして、利用者を見つけ、有効活用を促します。

1.問題になっている所有者不明土地。利用者に課税も
2020年4月1日より、所有者不明の土地を減らすため登記とは別に土地の遺産相続人を市町村に申告することが義務付けられます。また所有者が不明でも、実際に使われている土地に対しては、利用者に固定資産税を課すことになります。2021年度以後の年度分から適用です。

2.低額の空き家・土地の売却を促進
空き家や未利用の土地の問題を解消するため、所有期間が5年を超える土地(空き家含む)を売却し、売却価額が500万円以下だった場合、譲渡所得から最大100万円を控除できる制度が創設されます。現状では譲渡所得には所得税と住民税で20%かかりますが、この制度により最大20万円の税負担が減ることになります。

期限は土地基本法等の一部を改正する法律(仮称)の施行の日、または2020年7月1日のいずれか遅い日から、2022年12月31日までになります。

1.の制度は、「所有者がわからないけれども利用者がいる」といった場合には、利用者に課税をするというもの。2.の制度は、「土地(古家や空き家付き)を売った場合に少しでも金額が手元に残るようにする」というもの。

いずれも、土地の利用強化をするものなので、今は利用されていない土地や空き家が流通するようになるかもしれません。いずれにしても日本各地で空き家や所有者不明の土地が大きく問題となっています。今後はさらに「空き家対策」が強化されていき、海外のように中古住宅が不動産の主流になっていくことでしょう。

(マイナビニュースより引用)