記事紹介2020年01月11日
空き家問題がクローズアップされる中、令和2年度税制改正大綱では低未利用地を譲渡した場合の100万円控除制度の創設などが盛り込まれた。
2019年12月12日に公表された政府与党の「令和2年度税制改正大綱」では、個人所得税で低未利用地譲渡における控除制度が盛り込まれた。これによって、個人が都市計画区域内にある低未利用土地等を譲渡して譲渡所得が生じた場合、一定の要件を満たせば譲渡所得の金額から100万円を控除できる。
一定の要件には、低未利用土地等であることと譲渡後の低未利用土地等の利用について市区町村の長の確認がされていること、譲渡する年の1月1日において所有期間が5年を超えていること、低未利用土地の上にある建物を含めた対価が500万円以下であることなどがある。
また、所有者不明土地等に関わる課税上の課題への対応では、登記簿に所有者として登記されている者が死亡している場合、相続人に対して現所有者の氏名、住所などを申告させることができることとする。もし所有者が明らかにならない場合、不動産の使用者を所有者と見なして固定資産課税台帳に登録し、使用者に固定資産税を課すことができるようになる。
税制改正大綱にこうした制度の創設が盛り込まれる背景には、空き家や所有者不明の不動産が増加していることがある。
そんな中、リビン・テクノロジーズ株式会社は、運営する比較サイト「リビンマッチ」を利用した30歳以上の男女204名を対象に「空き家の問題・対策」について調査を実施し、その結果を2019年11月26日に発表した。調査期間は2019年10月31日から11月11日。
自宅近所に空き家があるか聞くと、41.7%が「ある」と回答した。その空き家についてどのように感じているのかを聞くと、「もったいない」が34.1%、「危険」が11.8%、「不快」が9.4%、「迷惑」が1.2%で続いた。「特に何とも思わない」は43.5%だった。
続いて、空き家がもたらす問題を複数回答で聞いた。近所に空き家がある人の回答は、「草木が伸び放題で邪魔」が47.1%で最も多く、以下、「景観の悪化」(36.5%)、「衛生環境の悪化」(35.3%)、「建物の老朽化による倒壊の危険」(34.1%)が続いた。近所に空き家がない人の回答も「草木が伸び放題で邪魔」が55.5%で最も多く、以下、「建物の老朽化による倒壊の危険」(52.1%)、「ゴミなどの不法投棄の誘発」(47.1%)、「衛生環境の悪化」(40.3%)が続いた。
空き家がそのまま放置されてしまう理由を同様に聞くと、近所に空き家がある人の回答は「売りたいが買い手がつかない」が58.8%で最も多く、「貸したいが借り手がつかない」(40.0%)、「処分すると持ち主の負担が大きい」「相続人が居住しない」「活用の仕方がわからない」(ともに30.6%)が続いた。近所に空き家のない人の回答も「売りたいが買い手がつかない」が68.1%で最も多く、「更地にすると税額が増える」(35.3%)、「処分すると持ち主の負担が大きい」(33.6%)、「相続人が居住しない」(28.6%)が続いた。
空き家は地域の景観を損ねるだけでなく、防犯・防災上でさまざまな問題が生じる。制度の創設で低未利用地の活用促進と所有者不明土地の解消が進み、空き家問題が改善に向かうことに期待したい。
(MONEYzineより引用)