記事紹介2019年02月23日

住宅ローン利用者は「全期間固定金利」の積極活用を 世界経済減速懸念で、長期金利が急低下

米の景気拡大が踊り場に入ったとの思惑や、中国の景気減速、EUの景気停滞などから、世界の株式市場は乱高下を繰り返しています。

これを受けて、市場では景気後退論が台頭。

株式市場から安全な債券市場に資金が流れ、10年物国債の利回りである長期金利は急低下しています。

今回は長期金利に連動する、住宅ローンの全期間固定金利を中心に、最新の金利動向を解説します。


■世界経済減速懸念で長期金利は0%台に急低下

2018年10月頃まで、長期金利は0.1~0.2%台で推移していました。

しかし、米の利上げ回数をめぐりさまざまな思惑が交錯する中、11月頃から世界の株式市場は相場変動(ボラティリティ)が大きい、不安定な展開となりました。

そして、12月には米で、3年物国債の利回りが5年物国債の利回りより高くなる、長短金利の逆転現象が11年ぶりに発生しました。

通常であれば、景気が拡大していくとの思惑から、3年物国債よりも5年物国債の利回りの方が高くなります。

しかし、今回起こったのは通常と逆のパターンであり、このような時は「景気後退」のシグナルと言われ、この現象がさらに世界の株式市場の相場変動を大きくしました。

これを受けて、世界の株式市場から安全な債券市場に資金が流れ、国債の価格が上昇(相対的に利回りは低下)し、世界的に長期金利の低下が進みました。

特に日本では、もともとの長期金利の水準が低いため、長期金利は1年3か月ぶりにマイナスに転じるなど大幅低下し、現在でもほぼゼロ%近辺で推移しています。


■消費増税を控え、長期金利は上昇しにくい展開

2019年は10月に消費税率の8%から10%への引き上げを控え、景気には何かと悪影響が生じる懸念があります。

ここに想定外の長期金利低下ですから、長期金利が昨年並みに上昇するというシナリオは描きにくくなっています。

これを受けて、フラット35などの全期間固定金利も2019年1月、2月と大幅に低下しており、過去最低水準となっています。

この低下で、現在の長期金利の水準が全期間固定金利にほぼ反映されたと見ることもできますが、長期金利がここから上昇するとは考えにくく、当面は低位安定の展開が続くと考えています。


■住宅ローン利用者は全期間固定金利の積極活用を

一時、上昇の気配を見せていた長期金利がここまで低下するのは想定外ですが、これから住宅ローンを利用しようとする人にとってはチャンスです。

消費税増税前に無理して駆け込む必要はありませんが、ここまで低下した全期間固定金利を利用しない手はありません。

変動金利だけを考えていた人は、全期間固定金利とのミックスプランを利用するなど、このチャンスを利用して、うまくリスク分散を図っていただけたらと思います。

(マネーの達人より引用)