記事紹介2018年11月25日

消費税率8%→10%の引き上げで、住まいや住宅制度への影響は?

来年2019年10月、消費税率が8%から10%に引き上げられる予定です。住まいはそのものが高額なだけでなく、増税の影響は引っ越しや家具家電の購入などにも関わってくるため、重大です。そのため政府でも増税対策としてさまざまな施策が行われます。消費税率の引き上げがどのような影響を与えるか、解説していきましょう。


■消費税がかかるのは建物や家具家電、各種手数料など

消費税はモノやサービスを購入するときに消費者が支払う税金のこと。住まいまわりでは、建物や家具家電、インテリア用品、仲介手数料や司法書士や金融機関に支払う各種手数料が課税対象です。しかし土地や、個人が売り主となっている中古住宅は消費税が課税されません。ただ、業者が売り主のリノベーションやリフォーム済みの住宅の場合は、消費税が課税されますので注意してください。

来年10月にはこの消費税率が現行8%から2%引き上げられ、10%になる予定です。原則としてこの10月1日以降に引き渡される住宅の消費税は10%になります。仮に土地1000万円、建物2000万円、家具家電・インテリアなどで200万円の費用が発生した場合、消費税だけで44万円も負担が増すことになります。


■消費税アップの際に注意すべきは「引き渡し」の時期!

住宅の購入では、通常、「引き渡し時点」の消費税率が適用されます。たとえば、新築マンションや新築一戸建て(完成済み)の場合、引き渡し日が9月末までであれば8%が適用になります。ただし、注文住宅などの場合、2019年3月末までに建築請負が完了していれば、10月以降の引き渡しでも消費税率は8%が適用されます(経過措置)。

とはいえ、増税を避けたいがために、焦って住まいを購入するのはNGです。駆け込み消費の反動から、税率以上の値下げをすることも少なくありませんし、何より慌てて決断したことで、悔いを残すことになりかねません。「何がなんでも消費税8%のうちに!」という理由での住宅購入はおすすめしません。


■住宅ローン控除のほか、すまい給付金、住宅エコポイントの拡充も検討

一方で、2019年10月までの住宅の駆け込み消費、その後の消費の冷え込みを抑えるべく、政府もさまざまな施策を考えています。

まず、現在でも利用できる制度から紹介していきましょう。よく知られている住宅ローン控除は、住宅ローンの年末残高の1%が所得税と住民税から10年間控除される制度です。控除額は最大400万円ですが、長期優良住宅や低炭素住宅なら最大控除額は500万円にアップします。また、印紙税や登録免許税、不動産取得税の減免制度もあります。これらの減税制度は現在も活用できますが、住宅ローン控除については、さらなる拡充が検討されています。

また、親や祖父母から「贈与」が受けられるのであれば、住宅取得資金の贈与税の非課税枠を活用しない手はないでしょう。2018年4月から1年間であれば非課税枠が拡大されますので、親子、祖父母でよく話し合い、賢く使いたいものです。

さらに、現在、議論されているのが、「すまい給付金」の拡充と、「住宅エコポイント制度」の復活です(2017年10月現在、正式決定ではないので、今後の動向に注意する必要があります)。

「すまい給付金」は、消費税率が5%から8%に引き上げられたときに導入された制度で、一定の条件を満たす住宅購入者に現金を給付する制度です。給付される金額は10~30万円ですが、これは購入した住宅の金額には関係なく、申請者の収入よって決定まります。これは消費税率が引き上げられたときに、給付額が引き上げられ、収入の基準も引き上げられることが検討されています。

「住宅エコポイント」は、省エネ住宅の新築やリフォームした際に、ポイントが配布される制度です。今まで省エネ住宅などを対象にした制度でしたが、今回はバリアフリーや防災対策、耐震強化なども対象に加えることが検討されています。

消費税率の引き上げの影響は大きいもの。「少しでもおトクに!」という気持ちはよくわかりますが、目先の金額に惑わされずに、各種制度を利用して賢く判断したいものです。

(マイナビニュースより引用)