記事紹介2020年11月27日

契約不適合担保責任、特約の制限に注意

(一財)不動産適正取引推進機構は27日、第112回講演会をオンラインで開催した。

「不動産売買契約紛争の実践知」をテーマに、涼風法律事務所の弁護士・熊谷則一氏が、不動産売買取引・契約の実務におけるポイントや注意点について、裁判例等も用いて解説。民法と宅地建物取引業法とが交錯するものについては、考え方や紛争予防も含めて説明した。

「不動産売買契約の成立には『契約書』が必要か」といった基礎的な解説をはじめ、今年、改正民法で規定された「契約不適合担保責任」についても解説。契約不適合である場合、買主は修補の請求等履行の追完請求や損害賠償請求等ができるようになった。しかし、その存在を認識せずに目的物引渡しから10年が経過すると、損害賠償請求についての権利は消滅してしまう。ただ、買主が契約不適合の存在に気付いた場合については特別な規定があることを紹介。事実を知ったときから1年以内に不適合が存在することを通知すれば、その時点から5年間が経過するまでは契約不適合責任を追及する事が可能であるといった内容など実務に関わるポイントを詳しく説明した。

あわせて改正された宅建業法40条1項についても説明。同項では「通知期間について、買主が不適合の事実を知るか否かにかかわらず、目的物の引渡しの日から2年以上となる特約が可能」と定めており、従来のような「買主は、売主(宅建業者)に対し、目的物の引渡しの日から2年以内に限り、瑕疵担保責任を追及できる」といった特約が現民法下では、無効になるので注意が必要とした。

さらに消費者間売買の免責特約についても触れ、消費者間の売買であれば、特約を設けることがあるが、「あくまで売主が知りながら告げなかった契約不適合についての担保責任を免れることはできないので注意が必要。買主に告知しないと紛争になる可能性がある」と話した。

(不動産流通研究所より引用)