記事紹介2017年11月25日

住宅ローン失敗を避ける 返済可能額など3原則把

社宅の退去期限や子供の入学などで来春に向けて転居先を探す際、理想の住まい探しばかりに目が向いてしまい、後で住宅ローンの返済に苦しむことがないようにしたいものです。
住宅ローンを組む際に最低限知っておきたい「3つのポイント」を紹介します。

(1)借りてもよい金額

 「借入限度額は年収の5倍、あるいは年間の元利返済額は年収の25%までなら大丈夫」といった目安をよく耳にしますが、すべての人に当てはまる目安ではありません。
借りてもよい金額を算出する基本は生涯の年間収入(手取り額)と年間支出額の見極めです。
働いている期間と退職後の手取り額を前提に、老後を含めた住宅以外の生活費や教育費支出が毎年どの程度なのか考えます。毎年の収入からこれらを差し引いた残額がローン返済や住宅維持費に回せる毎年の金額。この金額から借りてもよい金額が導けます。

(2)金利変動に耐えられるか

 住宅ローンには大きく3つの商品タイプ(変動型、固定期間選択型、全期間固定型)があります。
変動型や固定期間選択型を選ぶなら、金利上昇時に支払いに耐えられるかどうかを確認しておくことが重要です。
金利上昇の時期や度合いは予想が難しいのですが、内閣府は7月に発表した「中長期の経済財政に関する試算」のベースラインシナリオで長期金利は2025年度には1.8%(現在は約0.1%)と予測。
経済再生を最優先課題にしているため一定のバイアスはかかっていると思われますが、一つの参考になるでしょう。

(3)自己資金は諸経費+2割

 新築のマンションも戸建ても買ったあとは徐々に時価が下がるのが一般的です。
何らかの理由で返済ができなくなった場合、売却して得た資金で債務を返済できればよいのですが、それができないと大変なことになります。

 例えば4500万円の新築マンションを諸経費のみ自己資金、残りはすべてローン(35年元利均等返済、金利1.2%)で購入する場合、マンションを売却した際の手取り額とローン残債額を比べると、購入後20年は残債務のほうが大きく債務超過です。一方、同じ条件で諸経費と売買金額の2割(900万円)を自己資金とすれば、ほぼ債務超過に陥ることはありません。
「諸経費と購入額の2割は自己資金でまかなったほうがいい」といわれるゆえんです。

 気に入った住まいが見つかると、その後は一気に売買と住宅ローンの契約手続きが進みます。
業者に勧められるままにローンを組むということがないよう、これら「3原則」を押さえて後悔しない資金調達を目指しましょう。

(日本経済新聞Webより引用)